
実家を売却したいけれど、いざ売るとなると寂しくて踏み切れない…。
実際にそう感じている人は少なくありません。
実家は単なる不動産ではなく、家族の歴史や思い出が詰まった大切な場所。だからこそ、手放すことに葛藤が生まれます。
この記事では、実際に実家を売却した私が、寂しさを和らげつつ、後悔のない選択をするためにしたことを体験談からお伝えしています。
読んでくれたあなたが、実家売却に向けて一歩踏み出せるようになれたら嬉しいです。
実家売却が寂しい・つらいと感じる理由


手続きとしては進めなければいけないと分かっていても、心のどこかにずっと残る「寂しさ」や「迷い」。実家を売却すると決めたとき、誰もが感じる感情の正体は何なのでしょうか?
それは、ただの「家」ではなく、「家族との時間」「自分のルーツ」が詰まった場所だからです。
ここでは、多くの方が感じる「実家売却が寂しくなる3つの理由」と、その背景にある心の動きをご紹介します。
ただの家ではなく家族との思い出の場所だから
実家は、家族との大切な時間が刻まれた場所です。
食卓の会話、帰省時の笑顔、玄関を開けたときのにおい——そんな小さな記憶が、家の一つひとつに残っています。
だから、家を手放すことが「思い出までも捨ててしまうような気がして」つらくなるのです。
「帰れる場所」という心のよりどころを失うから


たとえ今は別の場所に住んでいても、「実家がある」というだけで、心のどこかに安心感を抱いていた方は多いでしょう。
実家は、帰ろうと思えばいつでも帰れる「心の避難所」。
そのよりどころがなくなることは、自分の“居場所”を一つ失うことでもあり、深い寂しさにつながります。
家族の時代の終わりを実感するから
実家の売却は、単なる所有物の処分ではありません。
親の施設入所や高齢化とともに、実家を売ることは「家族が一つ屋根の下で暮らす時代の終わり」を象徴します。
特に、親の元気な姿を思い出す場所がなくなることで、時間の流れや老い、そして自分の人生にも向き合うことになります。
実家売却が寂しい時の心の整理の仕方
- 寂しいという感情を否定しない
- 思い出の記録やデータを残す
- 実家を売却しないデメリットを整理する
- 実家じまいは「人生の新しい章」へ向かうためという視点をもつ
実家売却に寂しさを感じるのは、あなたがその場所と家族を深く大切にしてきた証です。
その気持ちにフタをせず、ゆっくり心を整えることで、「売ってよかった」「ちゃんと見送れた」と思える未来がきっと訪れます。
ここでは実家売却が寂しくなった時の心の整理の仕方をご紹介します。
寂しいという感情を否定しない
「手放すのがつらい」と感じるのは、ごく自然な反応です。
無理に「こんな感情いらない」と押し込めず、「私は今、寂しさを感じているんだ」と認めることが第一歩です。
思い出の記録やデータを残す


実家に残る思い出の数々を、写真や動画に収めましょう。
特に「いつもの景色」「お気に入りの場所」「親と過ごした部屋」などを撮影することで、心の中のアルバムを作ることができます。
実家にあるアルバムを持ち帰るのはかさばってしまうため、業者に依頼してデータ化するものおすすめです。
実家を売却しないデメリットを整理する
実家を残しておくことで考えられるデメリットを整理してみましょう。
だれも住んでいない家を残しておくと、
- 固定資産税がかかり続ける
- 定期的に通ってメンテナンスや郵便物の確認を要する
- マンションの場合、管理費が毎月かかる
など、維持・管理のためにお金と時間をとられることになります。
また、放置しておくことで資産価値が下がり、売れなくなる可能性も出てきます。



「寂しい」という感情とデメリットの現実の両方と向き合うのは大変ですが、自分は実家売却をして最終的にどうなりたいかを考えてみましょう。
実家じまいは「人生の新しい章」へ向かうためという視点を持つ


実家を手放すことは、過去を捨てるのではなく、「次の自分の人生に集中するための準備」です。
思い出とともに、今の自分の幸せ・将来に目を向けていくための区切りとして、前向きに捉えてみてください。
【体験談】我が家の実家売却の場合
売却を考えるまでの状況
母が施設に入って2年が過ぎ、空き家となっているマンションの貸し出しか売却を考え始めました。
- 毎月数万の管理費と公共料金の支払いで母の老後の資金が減っていく
- 郵便物の回収や部屋の掃除で家族の時間と手間がかかる
というデメリットから、母と相談するも、「家族との思い出の場所を手放すのは寂しい、元気になったら帰れるかも」という思いがあり進まない状況でした。
売却までの流れ
母の説得と並行して、3社の不動産会社に依頼し売却の場合、賃貸の場合の査定を出してもらいました。
売却までは以下の流れで行いました。
- 査定依頼・売却相談、価格査定
- 不動産やとの媒介契約締結
- 売却活動のスタート
- 売却
- 物件引き渡しの準備
- 決済と物件の引き渡し



↑我が家の場合は、家具家電は売却先が決まったら片づける予定で、リフォームはしない分相場を少し下げて売却しました。
売り出して半年ほどで買い手が見つかり、実家の整理が開始しました。
詳しい実家売却の流れや費用についてはこちら↓
いざ片付けが始まるとこみ上げる寂しさ
実家の引き渡し日が決まったら片付け業者を決め、事前に母と施設にもっていく物・処分して良い物を選んでもらいました。
業者が来る日が近づくにつれてこみ上げる寂しさ。「本当にこれで良かったのか?」という思いで過ごした日々。
無事に片付けを終え、何もなくなった部屋をみて虚しさや寂しさが出てくるも、「やっと終わったんだ」という達成感も感じました。
実家を売却する葛藤はありましたが、空き家リスクや管理負担がなくなり、母の老後の費用も手に入り、経済的・精神的な余裕を手に入れることができました。
実家売却を後悔しないためにしたこと
- 親との会話を重ねた
- 複数の不動産・遺品整理業者を比較
- 思い出の物の選別とデータ化
- 税金や手元に残る金額の確認
親との会話を重ねた
何度も話し合いを重ね、話をじっくり聞いて、「母が自分で実家売却を選択した」と思えるよう関わっていきました。
親は「実家=自分の人生・存在証明」と考えており、手放すことが「自分の死」や「居場所の消失」と直結しています。
「売却」ということだけに焦点をあてず、思い出の品の整理・保存方法やその後の人生について話を重ね、感情に寄り添っていきました。
不動産業者を比較して選び、信頼できるプロに頼る
我が家は3社の不動産業者から比較して選びました。
物件はすぐには売れず、長い間担当者とのコミュニケーションが必要になります。そのため、話し方の雰囲気や自分が良いと感じた不動産業者を選びました。
不動産業者によっては、「マンション専門」「戸建て専門」と特化したり、エリアが限られる業者があります。ですから、何社か比較して見積もりをもらい、話を聞くことで、信頼できる業者を見つけることができますよ。
思い出の物の選別とデータ化


実家を写真や動画におさめて記録を残し、母が施設に持っていきたい物は、なるべく希望を叶えてあげました。
家族のアルバムは持ち帰りましたが、部屋に置いておくとかさばってしまうので、データ化して保存する予定です。
写真や動画で部屋や窓からの景色を記録することで、「いつでも思い出せる安心感」を確保することができました。
税金や手元に残る金額の確認
実家を売却するにあたり、
- 仲介手数料や片付け業者の費用を引いて手元にいくら残るのか
- 実家を売却すると税金(譲渡所得税)がかかるのか
を確認しました。
売った金額がそのまま入ると思いがちですが、実際は「仲介手数料」や「譲渡所得税」などの諸費用が引かれた残額が手元に入るお金です。これを知らずにいると、売却後に「思っていたよりずっと少ない…」と後悔することになります。



我が家の場合は、購入時の価格より低く売れたため利益は出ておらず、税金はかかりませんでした。
詳しい実家売却の流れや費用についてはこちら↓
まとめ|実家じまいを終えることで今後の自分の人生に集中できる
- 寂しいという感情を否定しない
- 思い出の記録やデータを残す
- 実家を売却しないデメリットを整理する
- 実家じまいは「人生の新しい章」へ向かうためという視点をもつ
- 親との会話を重ねた
- 複数の不動産業者を比較
- 思い出の物の選別とデータ化
- 税金や手元に残る金額の確認
実家売却は精神的にも体力的にも辛いこと。家族との思い出の場所を手放すことになるため、寂しさを感じるのは当然のことです。
後悔のないよう、親と会話を重ね、信頼できる業者を見つけることが大切です。
そして、思い出を写真や動画などの記録と自分の心に残し、思い出を大切にしながら未来にエネルギーを使えるよう、ゆっくり気持ちを切り替えてみてくださいね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


・終活ライフケアプランナー
・父のお墓をどうするか1年以上悩んで調べた経験から、散骨や手元供養の様々な疑問について発信しています。